松田直樹メモリアルゲーム


2012年1月22日、松田直樹選手の追悼試合に行ってきました。スタジアムには、マリノスサポーターや山雅のサポーター、日本代表ユニフォームを来たひとなど、色々。私はどのカテゴリに入るのかな、マリノスサポでも、山雅サポでもないし、日本代表のファンとしてきたわけでも、ガンバサポとしてきたわけでもないし…。この日の入場者数の発表は、四万人越え。この日、ここに集まったのは、観客も選手も含め、みんな「松田直樹」というひとりの選手で繋がったひとたち。そしてサッカーが好きなひとたち。追悼試合という名目ではあったけれど、不思議と寂しい、悲しい、といった気持ちにはなりませんでした。


一試合目は横浜FマリノスOB対松本山雅、二試合目は横浜FマリノスNaoki Friends。松田選手に所縁のある選手、元選手達が集まった豪華な顔ぶれのチームでした。


一試合目は山雅がOBには負けんとばかりに(マリノスOBなだけで他チームで現役の方もいるんだけどw)粘りや熱さを見せつけ、横浜FマリノスOBを圧倒をし、1-0で勝利しました。ゴール後松田選手のリストバンドを掲げる選手達。

二試合目は、横浜FマリノスOB対Naoki Friends。カズやヒデ、かつての日本代表面々であったり、マリノスに所属にした名選手であったりがピッチを駆け回る、夢のようなメンバーでの試合でした。


ゴールは安永の美しいループシュートが決まって、その1点のみ。本人が「あの瞬間、直樹が降りてきた」と言ったとてもきれいなゴール。その後、みんなが取り出したのは「マツバン」!横浜OBの選手達は皆マツバンをして、また皆天へ指をかざしていました。

やや真剣モードだった前半と比べ、後半はお笑い要素もあり…てこれは岡山のせい?でも、みんながサッカーを楽しんでいるのが伝わる試合となりました。スタジアムにいたひとたち、テレビで観ていたひとたち、みんなが純粋にゲームを楽しんでいたんじゃないかなぁ。


試合後の安永の挨拶では不思議な事が起こりました。私は個人的に、試合中に「マツ見てるかな、見てるというか、たぶんもう自分でプレーしたいだろうし、その辺走りまわってるんだろうなぁ」とは思っていましたが、それはあくまで「そうだったらいいな」という自分の自己満足のような思い込みで、絶対そうだよ!と鼻息荒く他人に言うような類の話ではないと思っていましたし、いまでも、そう思います。

それでも、「もしかして」と思わざるを得なかった。

安永の挨拶で、松田選手について「上にいるのか、下にいるのか、そのへんをさまよっているのか…」と言った時に、ザザーっとマイクにノイズ。一通りのやや硬い挨拶が終わったあと、「すいません、カタいのやめます!直樹は…」と話始めた途端にまたザザーっと何度もマイクに入るノイズ。

「直樹のイタズラです!そういうやつなんです!」

多分、安永だけじゃなくて、あの時挨拶を聞いていた人の多くは同じことを思ったんじゃないかな。ばかばかしいかな、とも思うし、偶然だろう、とも思うけど、でもそれ以上に「マツならやりかねない……!」という気持ちが強かった。あのタイミング。もし、マツが来ていたなら、上じゃなくて、ピッチにいて「ここだよ!」と言っただろうし「カタい挨拶してんじゃねーよ!」くらい言ったんじゃないかなと、そう思わずにいられなかったのです。

「でも、そんな松田直樹は最高でした!」と叫んだ安永。

スタジアムが大きな拍手で包まれました。


去年の8月にマツが亡くなってから半年近く。未だに実感があるかと言われるとよくわからないけど、この日試合を観に行ったことで、何か一つ区切りのようなものがつけられた気はします。お別れとか決別とか、そんなものではなく、やっぱりサッカーもマツも大好きだ、という気持ちを再確認したというのが近いかもしれません。


マツ、ありがとう!